武田吉康の営業学

営業という仕事は、いろいろな側面をもっています。
私は最初典型的な だめセールスマンでした
その中から、基本を教えるセールストレーナーとなり、たくさんの新人のトレーニングを経験した結果、現実に、契約が取れるということは、どういうことか、たくさんの、ケースを観察、研究する機会に恵まれたのです。

多くのスーパーセールスは、自分の経験に基づいていますが、それは、その人の
個性と不可分なものなので、なかなか、まねすることができません。
特に、その人個人の個性や教養・知識とその人が作り出す信頼関係は
ほかの人が学べるものではないといえましょう。
その意味で、営業は芸術の側面をもっています。
つまり。{彼だからできる・・あのお客との相性が良い・・・}のどという話です。

一方、営業という仕事を数多く見てくると、必然的な、プロセスを踏むことがわかります。結局、ものを買うという行動に踏み出すには、その人の内心の動きを知ることが
必要です。
セールスが、嫌われるのは、そのひとを、たぶらかしたり、誘惑したりするような
不誠実なオーバートーク、いわゆるセールストークが信用ならないからであり
悪徳商法に象徴される、金儲けのためなら、黒でも白と言いくるめるというような
詐欺同然の仕事とおもわれているからです。
これは、何も、一部の悪徳訪問販売の世界だけではなく、大手企業の営業部隊にも
売れないものを売ってくるのが、営業の仕事}という理不尽さはまかり通っています。
その根本は、5円で仕入れたものを10円で売るのがセールスであり
その差額が利益なのだから、売り手と買い手では利害対立が当然であり
そこで正直にやれば、飛ばされてしまうか、値切られる、ある程度情報を隠すのは
商売としてやむをえない。という考えがあります。
正直さより、お金の方が大切なのが企業というものです。・・・
ほんとうにそうでしょうか?

人がものが欲しくなるのは、必ずしも合理的な理由だけではありません。
人間の欲求や信念に関する知識、行動選択に関する知識は、心理学から
得られます。
心理学はたくさんの人間の行動を観察し、そこに法則性を見つけます。
人間の関節は内側には曲がるが外側には曲がらない、これは、正常な人間には
共通するという事実の上に、柔道やレスリングの「技」が生まれます。
そして、きちんとそのような、技を見に付けた達人と、素人では勝負になりません。
同じように、人間の心理についても研究されてきました。
行動主義心理学から派生した社会心理学は特にアメリカで盛んでした
1960年代に研究された数々の、成果、コミットメントと一貫性とか、権威、
社会的立証、返報性などの心理学的研究の成果は、早速ビジネスの世界に
導入されました、その最先端がブリタニカであったのです。

私は日本ブリタニカの全社的なセールスマニュアルを作り、指導する立場に立ちました。その中で、このような、「科学的」つまり、個人の個性や力量に左右されるのでなく
人間心理に普遍的で、客観的に成立する購買行動研究に基づくものという考え方を
追求してきたのです

この40年の間に、世の中は大きく変わりました。
ものがない、生産者有利の成長時代から、ものがあふれ、消費者有利の成熟経済の
時代へと、大きく変動する中で、販売心理学から、購買心理学へと、変化しています。

また、消費者は、商品を通じて自分の問題を解決して、利益を得ます。
つまり、人間社会は、交換による相互利益で発展してきました。
あらゆる、販売は、上手に買った商品を活かす使い方ができれば、「投資」になります。
500万のコンサルティングを導入しても1億の利益が実現すれば
9500万円プレゼントしたのと同じです。感謝されて当然です。

そして、感謝されれば関係は継続します。

図はそのような概念を表現したものです。

私は、40年にわたり、多くの実例を観察しました
たくさんの心理学についての仮説を検証しました
そして、同じ人間が二人といないように、すべての営業活動は
それぞれに診断しなければならないのと同時に
すべての人間に、数千年、数万年かわらない
人間行動・人間心理の共通店があると気づいたのです。